Sulaで、また一つの出会いがあった。リゾートでは、ほとんどの人がオートキャンプ。テント張っているのは、私だけだった。いい匂いが立ち込める夕方。誰か誘ってくれないか期待するが、ここはCDTなんて知らない人しかいない。トレイルマジックなんてあるはずもなく、夜がふける。ふと見ると、自転車の旅人がテントを張っていた。
翌朝、朝食会場で一緒になったのは、レイ。3Mさんのアメリカ法人で働いていて、日本にも来たことがあるそうだった。おはようございます。の一言に驚いた。

彼はCDTの事はしっていた。しばし、楽しい時間を過ごし、リゾートの人から郵便局まで乗せてもらい、トレイルヘッドまで連れていってもらった。郵便局で受け取った小包、実は、壊れていてテープが貼られていた。中身が足りなかった。しかし、仕方がない。10日分なんとか間に合うだろう、そう思っていた。また、ジープロード歩きから始まる。マークは、ほほない。雨に降られ、翌日は葉露でグショグショ。容赦ない直登り。終われば直ぐ下り。これの繰り返しに、段々体力が奪われる。食糧もギリギリで準備した更に少ないのでセーブして食べる。朝から日暮れまで、ただこれだけを繰り返す。楽しみを見いだせないまま、ただ歩く。
しかし、南モンタナ州がその姿を変え始めた。Big hoolエリアのUpper Slag a Melt Lakeを超え始め、初めて景色が綺麗になっていく事を感じた。CDTを歩き始めて初体験だった。


しかし、なぜか私は追い込まれていた。食糧がギリギリで、常に我慢の日々。先を急ぐ事だけを最優先に、夜残りいくつか確認する日々。5日目の夜中、目覚め眠れなくなっていた。体の渇きと空腹だった。しばらく考えていた。いつも寄り添っている、加藤さんのバックパックに寄りかかり、考えた。俺らしくない事に。会社を辞めて一年半、ただひたすら走り続けてきた。そのまま、CDTに乗り込んだ。ただ、前だけを見て。楽しむ事を忘れたまま、何かに追われるように。俺は何者で何がしたいのか?加藤さんと話したトレイル。Aicaがfacebookで上げた、トランピンさんの取材で信越トレイルを歩いた時の事を思い出した。楽しんでない自分。たださきだけを急いで、幸せの重さを削っている自分。 意味のない1ヶ月を過ごしてしまったのかもしれない。そう思えて、残り少ない食糧を夜中に食べた。明日、ヒッチハイクが困難だが、町に降りれる。降りよう。自然に思えた。翌日、いつものように急ぐが、しっかり食べながら歩いたせいか、夕方着の予定が、お昼過ぎにはBannocpassまで着けた。しかし、やはり車が通らない道。いつもなら待って、ヒッチハイクするのだが、町の方向に自然に歩いていた。一時間ほど歩くと、一台の車が停まった。チャック。彼は砂金を取りながら旅をしていた。途中のキャンプサイトで、サンドイッチをご馳走になり、砂金の取り方を教えてもらった。早く町に行きたいと、今までの自分なら思っていたかもしれないが、楽しかった。これもトレイルの楽しみ。心から思えた。きっともう大丈夫。

砂金を取る機械




そして、私はLeadore IDアイダホの町に初めておりたった。約630マイル地点。間もなくモンタナ州も終わる。
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